ピアスのケロイド


穴あけ用ピアス(ファースト ピアス)

当院ではスウェーデン・ブロムダール社製の医療用ピアスを穴あけ用ピアスとして使用しています。金属アレルギーを起こす可能性のあるニッケルや金メッキを施していない純チタン製のファーストピアスです。また穴あけ用ピストルの先端部分がディスポーザブルで施術ごとに完全交換しますので,他人の血液等で汚染される可能性が無く,肝炎等の医原性感染の心配はありません。

ピアスケロイド 初発例

耳垂に開けたピアスの穴に生じたケロイドです。ピアスの穴が順調に完成せず慢性の炎症が続いて肉芽腫というしこりを生じ,それがやがてケロイドになります。写真のケロイドは耳垂の前面と後面に腫瘤が生じて鉄アレイがはまり込んだような形をしています。小さいものではステロイドの局所注射や,圧迫療法で縮小させたり,単純切除する場合もありますが,この程度の大きさになると特殊な手術が必要です。

手術直後の写真です。腫瘤を単純に切除して縫合しただけでは傷の一部に張力が偏在したり,不自然な歪みが残ります。また死腔と呼ばれる,傷の内部に閉鎖しきれない空間が残ることがあります。それらが感染や創傷治癒の遅延を招き肉芽腫やケロイド再発の一因となります。この症例では,張力を均一に分散して,死腔を完全に無くすように計算された,立体的なZ形成術が施してあります。

ピアスケロイド再発例

単純切除後に再発したケロイド
Z-形成術で真皮の張力をなくして縫合
半年後、再発はみられない

ピアスケロイド耳介前面

耳介前面に生じたケロイド
島状皮弁にて緊張なく創閉鎖
術後2週間

ピアスケロイド耳介後面

耳介後面に生じた巨大なケロイド
耳介後面の転移皮弁にて真皮網状層の緊張を極力無くして創閉鎖
術後半年で再発は見られない

ピアス穴の裂創,耳垂裂

ピアスのトラブルで多いものの一つに裂創があります。耳垂が裂けたまま傷が治癒してしまうと耳垂裂になってしまいます。

術後の写真です。裂けた傷を単純に縫合するだけでは,傷痕(きずあと)が収縮する瘢痕拘縮という現象によって縫合部が陥凹変形してしまうため,ここでもZ形成術という形成外科的な手技を用いて瘢痕拘縮を防止し,変形を最小限に抑えるようにしてあります。

Y字状の複雑な耳垂裂

Y字状に裂けた複雑な耳垂裂
Z形成術を組み合わせて縫合
自然な耳垂のカーブが形成された

二列状の複雑な耳垂裂

二列に裂けた複雑な耳垂裂
単純な切除縫縮術では陥凹変形が必発する
Z形成術で過矯正ぎみに外に凸のカーブを形成

手術費用

ケロイド皮弁作成術+皮膚腫瘍摘出術19,035
耳垂裂耳介形成手術(耳介軟骨形成を要しないもの)29,880
※その他に再診料、薬代が別途かかります。
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